アカネ科植物の種を焼き、砕き、高温水による抽出液を口にする…。珈琲とは嗜好のための物理化学だ。収穫された実から種子である生豆が精選され、与える熱エネルギーの制御により、さまざまな色味、艶、香りの焙煎豆となるのだが、この珈琲豆というものを舌以外でも存分に堪能できるのが庵治石のミルだ。豆の硬度が焙煎具合によって微妙に異なることは、擦り棒を握る掌を通した振動としてダイレクトに伝わってくる。乾燥した細胞組織が粉状に変化していく音も、モーター音やギア、刃物等の音に邪魔されることなく、立ち漂う芳香と共にあらゆる感覚器官を独占していく。好みの粗さに挽かれた濃茶色の物質は陶製ポットの中で鉄瓶から注がれる熱湯を懸濁させ、砂が落ちていくのを眺めるうちに過ぎる四分の間、分配平衡という摂理に従い諸成分を水中に放出する。銅製の漉し道具を通過して好みの器に注がれた成果物を口にする珈琲道は、ここに述べた全ての理屈を忘れさせる程、実に感覚的で、面白い。

すり鉢 寸法・重量:幅14.4cm×高さ9.0cm 開口部内径9.5cm 重量 約2100g
すりこぎ棒 寸法・重量:径4.2cm×長さ15.0cm 重量 約400g
素材:庵治石(天然石)
製作地:香川県

鏡肌
価格:100,000円

雪解け
価格:120,000円

※価格はすべて消費税別・送料別の表記です。
※価格は2020年2月現在のものであり予告なく変更される場合があります。
※レンタルについてはお問い合わせください。
※天然石を素材としているため、色合いや模様には個体差があります。
※一点一点手仕事で製作しているため、寸法や重量に若干の個体差があります。